でたらめ電子工作 番外編 「デジタルICを使った、ヘッドフォンアンプ」

以前、知り合いに頼まれて設計したヘッドフォンアンプです。
そのため、電子回路の初心者でも簡単に作れるように、回路図ではなく、実体配線図を用意しました。
私も同じ物を作り、キーボードに内蔵して、キーボード内蔵型ヘッドフォンアンプとして利用しています。
デジカメ故障中に作った物なので、残念ながら写真はありません。


■回路図

以下の回路図が、ヘッドフォンアンプの配線図です。

配線図の表示 「KeyboardAmp.gif」

実体配線図ですので、説明することは何も無いと思います。
図中には入力と出力のGNDが描かれていませんが、どちらのコネクタもGNDを接続してください。
ICは74HC04より、74HCU04の方が音質が良くなると言う事を、某掲示板で教えていただきましたので、74HCU04に変更するといいでしょう。


■パーツ

利用するパーツ数は、そんなに多くありません。
実体配線図では、音量調整のボリュームが二つか描かれていますが、LとRを別々に操作することははまり無いと思いますので、
2連ボリュームを使うといいでしょう。

電子部品

部品名 型番・値 個数
IC (C-MOSバッファ) 74HCU04相当品 2
IC (可変レギュレータ) LM350 1
電解コンデンサ 10μF/16V 2
電解コンデンサ 220μF/16V 3
セラミック・コンデンサ 0.1μF/50V 2
抵抗 10KΩ 4
抵抗 680Ω 3
抵抗 1KΩ 1
ボリュ−ム 10KΩ・2連1
ヘッドフォンジャック -- 1
ヘッドフォンプラグ -- 1
配線材(コード) 細めの物 1m程度
ユニバーサル基盤 -- 1

その他構成部品

部品名 型番・値 個数
キーボード(笑) 基盤の入るスペースがあるもの 1

■製作

今回の回路は小規模ですので、私はユニバーサル基板に組みました。
実体配線図通りに配線をすれば、問題なく完成すると思います。

基盤が完成したら、テストしてみましょう。
ヘッドフォンプラグとジャックを仮配線し、電源には006P乾電池を接続します。
オーディオ機器やPCに接続し、音を鳴らしてみましょう。
L,Rともに鳴っていることを確認したら、キーボードに組み込みます。

キーボード内にはPS/2やUSB経由の電源が来ていますので、ヘッドフォンアンプの電源もここから失敬しましょう。
キーボードは常に手元にありますので、ヘッドフォンアンプが邪魔にならず、便利です。


■今回の回路について

今回の回路では、デジタルICである74HCU04をアンプとして使用しました。
これは有名な使い方で、私が知っている中では、初代のファミコンのオーディオ出力に使われています。
多分、これ以外にも色々使われているでしょう。
基本的な回路は、以下の図のようになります。


増幅度 : G=R2/R1 (多分こうなるハズ・・・間違ってたらゴメンナサイ)

さて、なぜこんなことが出来るかですが、それはC-MOSインバータの構造に理由があります。
C-MOSインバータは、下記のような回路になっています。

FETは、入力電圧により出力電流を調節する素子と考えることができます。
P-MOSは、ゲート電圧が下がると出力電流が増加し、N-MOSはゲート電圧が上がると出力電流が増加します。
上記の回路で、入力と出力を抵抗で接続すると、N-MOSとP-MOSがちょうど釣り合った状態で安定します。(C-MOSインバータの場合では、スレショルド電圧で安定します)

ここで、抵抗を通して、入力に電圧を与えてやる事を考えます。
たとえば、抵抗を通して高い電圧を加えたとします。
すると、当然入力の電圧は上がります。
この電圧の変化はFETによって増幅され、出力電圧は減少します。
出力電圧が減少すると、入出力間にある抵抗によって、入力の電圧も低下します。
双方が釣り合ったところで安定するはずなので、結果として、R2/R1の増幅度が得られることとなります。

※この文章は、私が何も調べずに考えた物です。正確である保障はありませんので注意してください。
 と言うか、詳しい人、これで合ってると思います?


■最後に

今回の回路は小規模ですが、なかなか面白いものです。
私が聞いた限りでは、メディアスピーカのヘッドフォン出力よりは音がいいと思います。